ダンスで頭も心も元気に!脳・メンタル・体への効果をやさしく解説
こんにちは。ダンサーのYUUUNOSUKEです。
「ダンスって楽しいけど、体や頭にも良いの?」
実は、ダンスには、脳・心・体の3つに良い効果があることが、研究でわかってきました。
この記事では、2026年に発表された新しい研究を中心に、むずかしい言葉はかみくだいて紹介します。
ダンスってそもそも何?どれくらい昔からあるの?

ダンスの意味と言葉のルーツ
ダンスとは、音楽やリズムに合わせて体を動かし、気持ちを表したり、まわりの人と心を通わせたりすることです。
英語の「dance(ダンス)」の元になった言葉は、「ぎゅっと力を入れる」と「ふっと力をぬく」をくり返すという意味だと言われています。たしかに、踊るときの体の動きにそっくりですね。
日本語の「舞踊(ぶよう)」という言葉は、1904年に坪内逍遥(つぼうち しょうよう)さんと、福地桜痴(ふくち おうち)さんが使ったことで広まったと言われています。
それまでは「舞踏(ぶとう)」と呼ばれていました。
ダンスは人間の歴史と同じくらい古い
日本でも、神話『古事記』に、アメノウズメという女神が踊ったことで、隠れていた太陽の神アマテラスが外に出てきたという話があります。
昔のダンスには、こんな役割がありました。
- 神様へのお祈り:神様に感謝や願いを伝える
- みんなで協力する:仲間と力を合わせる、戦いの前に気持ちを盛り上げる、歴史を伝える
- 今のダンス:友だちとの交流、舞台、スポーツ、学校の体育(2012年から中学校で必修)、SNSの「踊ってみた」動画
【最新研究】ダンスでお年寄りの脳に変化が!

京都大学などの研究チームが調べました
京都大学、島根大学、福井大学、ZEN大学などの研究チームが、2026年1月に、アメリカの科学雑誌『Innovation in Aging』で、ダンスの研究結果を発表しました。
調べたのは、主観的認知機能低下(SCD)という状態のお年寄りです。
むずかしい名前ですが、意味はこうです。
検査では問題がないけれど、本人が「最近、もの忘れが増えたかも…」と感じている状態
認知症(物忘れなどが進む病気)の、少し手前の段階として注目されています。
この段階の人に、ダンスをしてもらって調べた研究は、世界で初めてだそうです。
どんな実験をしたの?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 「物忘れが気になる」お年寄り(平均74歳) |
| ダンスをするグループ | 週1回・1時間のダンスレッスンを3か月間(22人) |
| 普段通りのグループ | いつも通りに生活(22人) |
| 調べたこと | 記憶力などのテスト、尿中のオキシトシン、脳の活動(MRIという機械で測定) |
2つのグループを比べることで、「ダンスのおかげで変わったのか」がわかりやすくなります。
結果①:「幸せホルモン」が増えた!
ダンスをしたグループでは、血液中のオキシトシンがしっかり増えました。
オキシトシンは、安心したり、うれしい気持ちになったりするときに出る物質で、「幸せホルモン」とも呼ばれます。
普段通りのグループには変化がありませんでした。
結果②:脳の「つながり」が強くなった!
脳の活動を調べると、ダンスのグループでは、脳の2つの場所のつながりが強くなっていました。
2つの場所とは「左内側眼窩前頭皮質(ひだり ないそく がんかぜんとうひしつ)」と「左楔前部(ひだり けつぜんぶ)」です。
普段通りのグループでは、どちらも弱くなっていました。
デフォルトモード・ネットワーク(DMN)ってなに?
DMNは、ぼーっとしているときや、自分のことを考えているときによく働く、脳のチームのようなものです。
脳の前のほうと、後ろのほうの場所が協力して動いています。
年をとると、この前と後ろの繋がりは弱くなりやすく、それが記憶力などの低下に関係するといわれています。
ところが、3か月ダンスをしたら、弱くなるどころか強くなったのです。これはすごい発見です。
でも、ここは注意!
じつは、記憶力などのテストの点数には、2つのグループで大きな差は出ませんでした。
もともと点数が高い人が多かったことなどが理由として考えられています。
また、調べた人数は44人と多くありません。
つまり今回わかったのは、「脳やホルモンに良い変化が見られた」というところまで。
「ダンスで認知症が防げる」とまでは、まだ言い切れません。
科学では、こういう慎重な見方がとても大切です。
昔の研究でも、良い関係が見つかっていた
2003年のヴェルゲーゼさんたちの研究では、高齢になってからダンスを趣味にしていた人は、5年後に認知症になる割合が、ほかの趣味の人より低かったと報告されています。
ダンスで心も元気になる理由

「やる気」と「ごきげん」のホルモンが出る
ダンスをすると、ドーパミンや、セロトニンという、気分を明るくしてくれる物質が出ると考えられています。
色々な人と同じ目標に向かう経験は、ストレスに強くなったり、自信がついたりすることにもつながります。
自分を好きになれる3つの理由
- 鏡で自分を見る:動きや表情をみがくうちに、「どうしたらかっこよく見えるかな」と考えるくせがつきます。
- 人前で踊る:緊張したり、成功してうれしかったり、うまくいかなくて悔しかったり。そんな経験をくり返すと、心が強くなり、「やりきった!」という気持ちが自信になります。
- 頭の中が整理される:ある実験(2014年)では、ダンスセラピーのあとに気分を「色」で表してもらったところ、ダンスの前は「灰色っぽい」ぼんやりした表現が多く、あとは「赤」「青」などはっきりした色の表現が増えました。モヤモヤした気持ちが整理されたのかもしれません。
ダンスムーブメントセラピー(DMT)とは?
DMTは、体の動きを使って心を元気にする方法です。
アメリカダンスセラピー協会は、「動きを使って、気持ち、人間関係、考え方、体をバランスよく整えていくこと」と説明しています。
人に見せるためのダンスではないので、上手に踊る必要はありません。
心の中の気持ちを、体の動きで外に出す(これを「カタルシス」といいます)のが特徴です。
中高年の女性のストレスにも効果が
2006年の研究では、年配の女性を3つのグループに分けて比べました。
- DMTをするグループ
- 同じくらいの強さでウォーキングをするグループ
- 運動しないグループ
その結果、DMTのグループで、気持ちの面の改善が特に目立ちました。
心の健康には、運動の強さだけでなく、「感情を表現すること」や「楽しさ」も大切なのかもしれません。
ダンスは脳と体にもうれしい!

頭を同時にフル回転させる運動
ダンスでは、
- 振り付けを覚える
- 音楽のリズムに合わせる
- パートナーの動きを予想する
といったことを、同時にやっています。
このように頭をたくさん使うことが、脳が新しく変わっていく力(神経可塑性〈しんけいかそせい〉)を高めると考えられています。
バランス感覚がアップする
ドイツの研究者レーフェルト博士たちが、1年半にわたって比べた実験があります。持久力をきたえる運動のグループより、ダンスのグループのほうが、バランス能力がはっきり良くなりました。
ダンスでは、お腹まわり、足、足の裏の細かい筋肉をたくさん使います。
すると、「自分の体が今どこにあって、重心がどこか」を感じとる力(固有受容感覚〈こゆうじゅようかんかく〉)がみがかれます。
お年寄りが転んで、ケガをするリスクを減らすのにも役立つと考えられています。
心臓や筋肉にも良い
- 心臓や血管:心臓の筋肉をきたえる、血圧を下げる、病気のリスクを下げる、コレステロールの値を良くする、といった効果が期待できます。ゆっくり・はやくを組み合わせた振り付けは、「はやく走って休む」をくり返すインターバルトレーニングに近い運動になります。
- 全身の筋肉:回る、ジャンプする、ステップをふむ動きで、おしりから腕、体の中心までバランスよくきたえられます。
- 自分に合わせられる:速さも強さも調整できるので、年齢や体力に関係なく、無理なく続けられます。
ダンスの種類と世界のダンス

ダンスのわけ方
- 人数:ひとりで踊る「ソロ」/ふたり以上で、いくつものリズムを合わせて踊る「群舞(ぐんぶ)」
- 音楽:太鼓などの伴奏、音楽の伴奏、音楽なしで踊るもの
- めあて:気持ちやイメージを表すもの(モダンダンスなど)/人と交流するもの(社交ダンスなど)
世界のおもなダンス
| 地域 | 代表的なダンス |
|---|---|
| 日本 | 日本舞踊、盆踊り、琉球舞踊、暗黒舞踏、フォーメーションダンス |
| アジア | 京劇、カタカリ、レゴン、農楽舞 |
| インド | バラタ・ナーティヤム、カタック、バングラ、ガルバ |
| ヨーロッパ | バレエ、フラメンコ、ポルカ、ワルツ、タンゴ |
| 北アメリカ | ジャズダンス、タップダンス、ヒップホップ、ブレイクダンス |
| 中南米 | サンバ、サルサ、タンゴ、マンボ、ルンバ |
| 中東 | ベリーダンス、タンヌーラ(スーフィーダンス) |
| アフリカ | セガダンス |
ダンスジャンルについては、下記の記事でも詳しく書いていますので、参考にしてみて下さい。
ダンスを始めるコツ

まずは週1回から
今回の研究では、週1回・1時間のグループレッスンでした。
ダンス教室、公民館の教室、動画を見ながらのレッスンなど、続けやすい方法で始めてみましょう。
無理せず、楽しむことが一番
ダンスは強さを調整しやすい運動です。
体調や持病が心配なときは、お医者さんや家の人に相談してから、自分のペースで始めましょう。
よくある質問(FAQ)

Q. ダンスで認知症は防げますか?
ダンスをしている人は認知症になりにくいという報告があり、最新の研究でも、脳やホルモンに良い変化が見られました。
ただし、「防げる」と言い切るには、もっと大人数で長い期間の研究が必要です。
Q. 社交ダンスとヒップホップ、どっちが効果的?
今回の研究は「ダンスのグループレッスン」全体を調べたもので、ジャンルによる差はわかっていません。
自分が楽しく続けられるものを選ぶのが一番です。
Q. 運動が苦手でも大丈夫?
大丈夫です。速さや強さは自分に合わせて変えられます。簡単なステップから始めましょう。
ダンスで頭も心も元気に!脳・メンタル・体への効果をやさしく解説のまとめ
:ダンスは「心・脳・体」をいっしょに元気にしてくれる
- 最新の研究で、お年寄りの「幸せホルモン」が増え、脳の「つながり」が強くなることがわかった
- ドーパミンやセロトニンが出て、気分が明るくなり、自信もつきやすい
- バランス感覚、心臓、筋肉も同時にきたえられる
- 強さを調整できるので、だれでも続けやすい
ダンスは、大昔から人間が続けてきた、とても自然な活動です。
まずは好きな音楽をかけて、体を動かすところから始めてみませんか?
今回も、最後まで記事をお読み頂きありがとうございました。
※慎重に記事を書いていますが、間違い等々ございましたら、ご指摘いただけると幸いです。
参考文献:Innovation in Aging(2026)、Verghese et al.(2003)、侘美・森谷(2006)、渡辺(2006)、八木(2014)、宮本(2011)ほか
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